80人が本棚に入れています
本棚に追加
「……ハイ?」
いきなり何を言うのだこの男は。
てゆーか、いつの間に登ってきたんだ?
自分を見下ろしてくる男を思いっきり怪訝そうに睨んだ。
「お前は赤が似合うよ。」
「…さっき聞いたよ?
てゆーかそれ嫌味?」
ガシガシと頭をかき、上半身を起こしながら、ぶっきらぼうに応える。
なんなんだろう。
人が珍しく感傷に浸っていたと言うのに。
「お前には“赤”が似合う。」
三度目の言葉。
「でも…」
頭を撫でられる。
「“血(アカ)”は似合わない。」
―ヒョイ
「∑うわぁっ!?」
言われた言葉に一瞬呆けていると、いきなり肩に担がれた。
「えぇっ、ちょっあれ!?
何、この状態!!?」
一人パニクっていると、冷静な声が言った。
「風呂入るぞ。このままじゃ気持ち悪くてかなわねぇ。」
「風呂ぉ?ってどうやって入んのよ。隣街まで何kmあると思ってんの?」
「バーカ。ここの比較的綺麗で壊れてねぇの使うんだよ。」
どうせ、誰もいねぇし。
そう言って、葵はちゃっかりこの街でおそらく一番の豪邸の家に入って行った。
…いや、いいのか?オイ。
_
最初のコメントを投稿しよう!