第一章

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 ここに入れられたのは、二ヶ月程前。    逃亡生活を続け、公園のベンチで寝ていたら、捕まっていた。情けない限りである。  それ以来、ずっとこの檻に入れられている。      慣れ、と言うのも悲しいが、それ故に、僅かな言葉を聞くだけで、外での大体の出来事が予想できるようになっていた。     (行ったか……)      遠ざかる足音を聞きながら、溜息を吐く。    もう夜も遅いというのに、すっかり目が覚めてしまった。  眠くなるまでどう過ごそうかと考えて、更に目が覚める。     「せめて、アイツが来てくれればな……」        ――このくだらない檻から、逃げられるかもしれないのに。    その呟きは、声に出ることはなかった。
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