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「ここは……?」
三分程度だろうか、意味の無い思考を巡らせていると、隣の牢から声が聞こえた。
どうやら少女らしい。それだけ理解して、柳は声を出した。
「起きたか」
「誰!?」
少女の動揺が手に取るように分かる。
誰もいないのに、突然声をかけられたら、それは驚くだろう。
「アンタの隣りの牢屋牢にいる者(もん)だ。よろしく頼むぜ」
「隣? 牢……?」
次は訝しむ声。
寝ている間に連れてこられたのなら、状況が理解できないのも当然だ。
「ここは特環の隔離施設の一つで、捕獲した虫憑きを閉じ込めておく場所だ」
「特、環……」
声に憎しみの色が混ざる。
なんとなくだが、少女の次の行動が予想できた。
「脱走するつもりなら、やめとけ」
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