第一章

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「ここは……?」      三分程度だろうか、意味の無い思考を巡らせていると、隣の牢から声が聞こえた。    どうやら少女らしい。それだけ理解して、柳は声を出した。       「起きたか」   「誰!?」      少女の動揺が手に取るように分かる。  誰もいないのに、突然声をかけられたら、それは驚くだろう。       「アンタの隣りの牢屋牢にいる者(もん)だ。よろしく頼むぜ」   「隣? 牢……?」        次は訝しむ声。    寝ている間に連れてこられたのなら、状況が理解できないのも当然だ。       「ここは特環の隔離施設の一つで、捕獲した虫憑きを閉じ込めておく場所だ」   「特、環……」        声に憎しみの色が混ざる。  なんとなくだが、少女の次の行動が予想できた。       「脱走するつもりなら、やめとけ」
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