第一章

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 柳は簡単にだが、セイフティネックの説明をした。不審な行動をしただけで強力な電流が流れ、気絶させられるというものだ。       「まあ、壊せば問題は無いんだがな。欠落者にされるのがオチだし、止めとけよ?」        よほど悔しいのか、歯ぎしりが聞こえた。それだけで特環に対する嫌悪感が伝わってくる。     (つか、特環が好きな奴も珍しいか……)        組織の上層部は一般人であるために、当然のように虫憑きは差別されている。  弱い者は使い捨てのように戦闘に駆り出され、時には実験体にされるとさえ聞いたことがある。    特環に所属している者でさえ、怨みや憎しみを持つ者は少なくない。  それほどまでに、腐った組織なのだ。       「ここから出たいのは皆同じだ。だからこそお前一人の失敗で、チャンスを潰されるわけにはいかない」
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