六年生達の日常

4/5

18人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「どうしてここに?」 「お前の後を付けたんだよ。こんな所で何をしている」 文次郎が尋ねた。 「彼は悪くないよ。私が彼を脅しただけなんだ」 「雑渡さん!?」 「どういうことだよ?」 留三郎が聞いた。 「私の怪我を治さないと忍術学園を襲うぞってね」 「本当かっ。伊作!?」 仙蔵が声をあらげて聞いた。 雑渡が伊作を庇っているのがわかった。 「もう治療も済んだから彼は用済みだよ」 そう言って雑渡が立ち上がった。 三人は構えた。 「待ってよ、みんなっ」 「彼は優しすぎる。その優しさは命取りだよ。いつか私だけではなく他の連中も彼を奪いに来るかもね。まぁ、私が先だろうけどね」 そう言い、雑渡は一瞬で消えてしまった。 「ちっ。逃がしたか」 「伊作を奪うだと!?そんな事誰がさせるかっ」 留三郎は怒りを表にしていた。 仙蔵が伊作の両肩に手を置いた。 「アイツとはもう関わるなよ。伊作」 「仙蔵…………………」 「あんな奴に好かれおって………。お前はそうとう不運だな」 文次郎がため息混じりに言った。 伊作はボソッとそんなことないよと聞こえないように言った。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加