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そして今は高校2年の夏。
相も変わらず友達はいない。
学校の前。まるで森のなかの館みたいな学校である。
この蝉が鳴く木々の中で聞き慣れた声がした。
『叶ちゃん待った?』
結城が笑いながら言う。
『僕は女じゃない。』
いつものように返す。
今日は結城の家で期末試験勉強をすることになっている。7月ともなれば都会とは少し離れた学校のため、暑すぎてまるで勉強にならない。木々の虫達は鳴き止む気配すらない。
『そういえば、今日はお父さんが同僚つれてくるってさぁ。』
僕には関係ない話だ。
という言葉を飲み込んで適当に相づちをうつ。
この学校から結城の家は自転車で20分くらいだ。
『それでさぁ‥‥‥‥』
くだらない話が次々とでてくる。口にチャックでもしておけと言いたいところだが。その明るさが彼女のいいところでもあるのだろう。暇つぶしにはなる。
どこまでこいでも見えるのは緑ばかり。
普通の人なら迷いかねない道を進んでいく。
『それからねぇ‥‥‥‥』
ここまでくるともう動くラジオだ。
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