悟り石:投げ石

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しかしまだ時間は昼過ぎ。 勉強をはじめることになった。 初めてから2時間程経って、浩司おじさんが差し入れを出しにきた。結城の母はだいぶ昔に交通事故に遭って亡くなった。それ以来、家のことは大体浩司おじさんがこなしている。 差し入れを食べながら少し早めの休憩をとることにした。 すると不意に結城が聞いた。 『叶の力って何が見えてるのかな?二日後に死ぬ人が見えるっていっても人間なんだから普通に見えるはずでしょ?なんで透けて見えるのかなぁ?』 頭を傾げながら言った。頭のうえにハテナマークでも見えそうだ。 少し面倒臭いような顔をして叶が答えた。 『具体的に言えばたぶん、肉体と魂の乖離が見えてるんだ。』 『カイリって?』 わざとらしくため息をついてから言う。 『乖離は簡単に言えば分離のこと。魂が体から抜けかけてるから体が透けて見えるんだよ。それに詳しく言えば、2日後に死ぬ人が見えるんじゃなくて、死の運命にある人の魂の乖離が2日前から始まるんだ。死の1日前の人はさらに透けて見える。』
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