0、プロローグ

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使者は光に好かれていた。しかし使者は闇を好んでいた。 高貴な魔術師と呼ばれた自分は過去のもの。では今の自分はどうなのだろう。 ただの記憶喪失の旅人? そうなる前のこと、今でも少しは思い出せる。 名前こそ分からないが、そう。自分達は何かに追われていたのだ。混乱の中で。 一人は扉の前に残った。もう一人はとある物を手渡して、こういった。 「君は私の息子に似ているな」 それが少し、衝撃的だったのはきっと目を覚ました後でも忘れたりはしないだろう。 (……目を覚ましたあと?) そうだ、これは夢の中だ。妙な浮遊感もきっとそのせいだ。 これが夢の中ならば、次に自分はどうすれば良い? そうだ、目を覚ませば良いんだ。 覚めた後に、自分は覚えているだろうか。この不思議な夢のことを……。
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