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兎を仕留めた場所から少し離れた薪の所に到着すると、持ち帰った戦果が土で汚れないように大きな葉っぱをちぎってその上に置く。
懐にしまってある火打ち袋から火打ち金と火打ち石と火口(ほくち)を取り出し、またも慣れた手つきで火を起こす。
何やら種類のわからない鳥のピピピという鳴き声と火の爆ぜる音がパチパチと響く森の中、兎をあぶりながらコニアはぼんやり考え事をしていた。
このままのスピードで王都アセスクラ向かって東へ進んだとしても、どう早く見積もってもあと三日はかかり、その間はずっと一人ぼっちになることになる。
「寂しいな……」
やがて辺りに肉が焼ける香ばしい匂いが漂い始め、それにそそられてコニアのお腹の虫がぐぅ~と大きくなった。
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