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チャーチャラチャラ―
慎はファーストフード店の窓越しから見たアキラの事を考えながら、帰り道の途中に携帯電話が鳴り出す。一瞬アキラか?と思ったが、電話される理由も無かったので画面を見る前にアキラでは無いという事に気付いてしまう。
「こんな時に…誰だよ…クソッ」
なんでこんなにも苛立っているのだろう?慎は頭を掻きながら電話に出た。アキラの事が頭にずっと引っ掛かりながら。
「はい…」
「……!!」
叫んでいるのか?怒っているのか?よく聞き取れない。分かるのは自分が聞いたことのある声と言うことだけだった。
「…母さんか?…ちょっと…落着いて。…よく聞こえない、何が言いたいんだ?」
「…!…!…!!」
慌てているどころの話じゃない。こんなに取り乱す母さんは初めて見るような気もする。家族に何か?いや、慎は父親は既に他界、それに1人っ子なので他に思い当たる節が無かった。
「ぁん…?何言ってんだオイ…訳わかんねぇよ…」
「…!!…!」
慎は耳を疑った。あまりにも信じられない言葉を聞かされ、一瞬自分を見失う。電話越しに発せられた母親の台詞を虚実だと信じたかったのだ。真実だと認めたく無かったのだ。
「んなこと…あるわけ…ねぇだろ?……冗談キツいっての、やめて…くれよ」
電話を持っている手と声が震える。事実を前に歯がガチガチ鳴った。頭が混乱し、その場に鞄をドサリと落としてしまう。
「…だって…さっきみた…ぞ?…ソレに学校じゃ…元気だっ…たし…」
電話越しどんなに母親に叫ばれても、もう慎の耳には何も聞こえてはいない様だった。目は既に何処を見てるかも分からず、焦点もあっていない。
「アキラが……死んだ?」
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