携帯

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家に着くまでの間に彼と色々会話した。 彼の名前は、成未快斗。32歳。 洋服関係の仕事をしていると言っていた。 他にも車の中では私の学校の事を話した。 成未は陽菜の話笑って聞いていた。 その度に、運転しながら時々陽菜の顔を見て相槌を打っていた。 二人での時間はあっという間に過ぎ、角を曲がればもう家に着いてしまう。 そう思ったら、家の前にお兄ちゃんが立っているのに気がついた。 「お兄ちゃんだ…。」 成未は車を家の前に止めた。 私が車から降りると、お兄ちゃんは怒鳴った。 「こんな時間までどこに行ってたんだよ!! 」 かなりキレている。 玄関から美和も出てきた。 「ごめんなさい。…電話するの忘れてた。」 陽菜には二人が自分のことを心配していたことがよくわかっていた。 「忘れてたって…」 昶は呆れながら陽菜が降りて来た車を見た。 陽菜はそれに気づき慌てて説明しようとした。 すると、運転席の扉が開いた。 「すみません。僕が遅くまで連れまわしてしまって。」 成未の態度は誠実そのものだ。 しかし、成未の顔を見た昶は驚いた。 かなり動揺している。 「…お兄ちゃん??」 魚のように口をパクパクさせていた。 「成未さん…。」 昶は口を開いた。  
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