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あの日から時々、成未の事が頭の中でチラついていた。
痴漢を追い払ってくれた時の力強さや
帰りの車の中で見せた優しい微笑みを思い出すと
ついニヤニヤした顔になっていた。
「キモいよ…。」
机の横にユカが立っていた。
お昼のパンを買いに行って戻って来たのだ。
陽菜はハッとして元の顔に戻した。
「良いことあったの??」
ユカは前の席に座って、陽菜の机にパンをおいた。
「別に何にもないよ~。」
陽菜は恥ずかしさを抑えカバンからお弁当を取り出した。
成未の話しはユカに話していなかった。
内緒にしている訳ではなかったが
あの日の事は陽菜の中で宝物の様に感じていた。
誰かに言ったら消えてしまいそうで…。
大切に、自分だけの秘密として心にしまってあるのだ。
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