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「こっち空いてるよ!!」
講堂に入ると同学年の生徒がパンフレットを見ながら騒がしくしていた。
ユカは先に行き、端の列で手を振ってくれた。
陽菜は入り口に置いてあったパンフレット二枚を手に取り、席に向かった。
すると背後で名前を呼ばれた。
後ろにいたのは化学の夏目先生だった。
手には花束を抱えている。
「水瀬、頼んでもいいか。」
そういって花束を渡された。
話しを聞くと、講演のゲストの人に花束を渡して欲しいと言う事だった。
イケメンな夏目先生の爽やかな笑顔を見せつけられたら、引き受けるしかなかった。
陽菜は花束を抱えてユカのいる席に座った。
「断れないタイプだからねぇ、陽菜は。」
ユカは花を見て言った。
最後に、花束贈呈しなければならないという責任から少し緊張してきた。
「今回は社長だってさ。」
ユカはパンフレットを読みながら言った。
私達は今年3年生と言うことで、何かと進路について集会が開かれていた。
1ヶ月に一度くらいのペースで、ゲストを呼んで仕事について語ってもらうのだ。
「若ッ!!33歳だって。」
やけにユカは興奮している。
自分の緊張を分けてやりたいと陽菜は思った。
陽菜もパンフレットをそっと開いたが、同時に照明が落ちた。
アナウンスと共に講堂は生徒の拍手に包まれた。
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