私が知らない私

7/18
前へ
/109ページ
次へ
「お詫びに、僕の会社の商品をプレゼントしたいんだ。」 彼は車の扉を開けた。 “乗って”と言うように微笑んだ。 「えっ…あの、本当に気にしてないので… プレゼントなんて頂けません。」 陽菜は手を振った。 いくら拒否しても藤堂は引き下がらなかった。 「君も一緒に。さっ、乗って!!」 大地の背中を押して、半ば強引に車に乗せた。    “誘拐じゃん!?!?” 大地と陽菜は顔を見合わせて同じ事を思った。 「安心して。誘拐とかじゃないから。」 二人の思いは見抜かれていた。 そして藤堂は、帰りは駅まで送ると約束した。 車の中では緊張を解すように、いろんな話を振ってくれた。 藤堂がサッカー部に入っていた事を知った大地は一人で興奮してい。 陽菜はただ相づちを打つ程度だったが、何度もミラー越しに藤堂と目が合った。 目を反らす度に緊張が増した。  
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!

297人が本棚に入れています
本棚に追加