私が知らない私

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「着いたよ。」 30分くらい走っただろうか。 着いた所は大きなビルの中だった。 陽菜と大地は案内されるまま、藤堂について行った。 「どうぞ。」 かなり広い部屋に通され、フカフカのソファーに座った。 藤堂はデスクの電話で誰かを呼んだ。 「スゲー部屋ですねぇ!!」 大地は部屋を眺めて回った。 車の中で藤堂と盛り上がったせいで、大地の彼に対しての不信感は消えていた。 「後で僕のサッカーコレクションを見せてあげるよ。」 藤堂は窓際にあるデスクの前で爽やかに笑っていた。 一人はしゃぐ大地の横で陽菜はまだ緊張していた。 そもそも壇上でのコトも、会社で謝罪を受ける程でもない。 こんな所まで来て逃げられないという焦りが、藤堂が余裕顔で微笑む度に増していた。 「失礼します」 扉の向こうで声が聞こえ、綺麗な女の人がケーキを運んできた。 その女性は慣れた手付きで、中央のテーブルにケーキを置いた。 「そうだ…彼をコレクションルームに案内してあげてくれないか?」 その女性は、テーブルに並べたケーキを一瞬見たが、“分かりました”と従順な態度を示した。  
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