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陽菜は見知らぬ場所で大地と離れるのは心細かった。
「ちょっと…大地!!」
小声で大地を呼んだが、サッカーバカの耳には何も届いていなかった。
「ハル、ちょっと待ってて!!」
大地は笑顔で女性の後ろをついていった。
まるで金魚のフンだ…
陽菜は薄情な大地をそんな風に思った。
藤堂と二人になった陽菜は適当な話で、気まずい空気を逃げ切るしかなかった。
「あっ、大地が調子にのっちゃってごめんなさい…」
藤堂は首を横に振って笑っていた。
陽菜の目の前に座り、陽菜にケーキをすすめた。
陽菜は何種類もある中から一つを選び自分の前に引き寄せた。
藤堂に見られてるせいか、一つひとつの動作が慎重になった。
静まりかえった室内で、藤堂の目だけが監視カメラの様に陽菜を捉えていた。
「今日は驚かせて悪かったね。」
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