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「夏目!これうめぇな!!」
「ははっ、良かったな」
おいしそうに饅頭を頬張る少年を見て、夏目は一人罪悪感を感じていた。
こんな少年を、一瞬でも妖ではないかと疑った自分は
きっと最低なんだろう…と
「…ねぇ夏目、蝉ってどう思う?」
「え?蝉?」
ふと思いだした様に耳を澄ますと、
昼間の蝉の声とは逆に、
物悲しくヒグラシが鳴いていた。
「例えば…ミンミン五月蠅いとか、暑苦しいとか、ヒグラシの方がいいとか…」
どこか憂いのある少年とは逆に
夏目の足元ではニャンコ先生が
幸せそうに饅頭をもさもさと食べていた。
そんなニャンコ先生を一瞥し、
夏目は口を開いた。
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