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少年に手を引かれ辿り着いたのは
大木が一本立っている小高い丘…
夏目と少年が出会った場所だった。
着くと同時に夏目の腕から
少年の手は離れた。
「…色々と聞きたい事はあるが、どういうつもり…」
「…ごめん…夏目…」
言葉を言葉で遮る少年。
大木の幹に止まり、遮る言葉さえも遮る勢いで鳴く蝉。
「ごめん夏目…ごめん…ごめん夏目…」
「いや…その…怒ってるわけじゃ…💦」
こういう時、どう対処すればいいのか分からない自分を、夏目は心底恨んだ。
「取りあえず、ほら…顔をあげて………」
励まそうと少年に近付いた夏目は
見てしまった。
少年の体が透けているのを。
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