泡沫の一夏

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『夏目、散歩に行かんか?』 夏目と呼ばれた少年は 顔だけ声の主の方へ向ける。 蝉の声が響く中、話し掛けてきたのは 自称用心棒としてこの家に住み着いている ニャンコ先生。 「…こんな暑いなか出掛けるのか?」 時刻は午後になりたて。 暑さがピークになる時間帯だ。 『まぁそういってくれるな。気分転換にも丁度良いだろう。それに七辻屋の饅頭も食べたいしな。』 結局それか…というような顔をして 渋々、夏目は立ち上がるのであった。
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