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あたしはいつもの時間に出社した。朝の通勤ラッシュの流れと共に、あたしも会社に向かう…
季節は秋に向かっていた。街路樹のナナカマドがたくさんの実をつけていた。それは同時に今年は雪が多い年だというしるし。
バスと地下鉄に乗り継ぎ、あたしは会社に着いた…
「おはようございます!」
あたしはいつものように、元気よく挨拶した。
するとあたしの姿を見て、島田課長が寄って来た…
「おはよう。伊東さんは、いつも元気がいいですね?」
あたしは笑いながら言った。
「ふふふ…そうですか」
突然辺りを見回して、島田課長があたしに言った。
「ちょっといいかな?」
あたしは課長の後ろについて、会議室に向かった…
(何を言われるんだろう?ちょっとドキドキしてきた…)
島田課長は落ち着きがなく、そわそわした感じだった。
島田課長は、重そうな口を開いて言った。
「実は君に会社を、辞めてもらいたいのだが…」
「えっ?」
あたしは一瞬、言葉を失った。こんなに真面目に、三年間働いてきたのにどうして…
あたしは課長に詰問した。
「どうしてですか?」
課長はあたしに、目を合わせないように言った。
「早い話。君がリストラの対象になったということだ。頼む、私も辛いんだ。おとなしく辞めてくれ!今辞めると社長も、幸い退職金を弾むと言ってくれている…」
こうしてあたしは理不尽な退職を迫られたのだった…
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