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モニターの当選までは二週間だった。それまでに仕事を見つけるのは無理だろう。
あたしは《ル・レート薬品研究所》の医療モニターに、当たることを毎日願っていた…
そんなある日母から電話が来た!
「もしもし…お母さんだけど」
「あっ、ママ」
「この時間にまだ家にいるということは、まだ仕事見つかってないのね?」
「あはは…」
「ちゃんと食べてる?」
「一応…」
「本当なの?」
ママからの電話は嬉しいが、最後には家に帰って来いと言われるので憂鬱だ…
「食材送ってあげたからね?あんたの好きなカレーの材料よ」
「ありがとう!」
「仕事が見つからないんだったら、そろそろ家に戻ったら?」
(やっぱり来たか…)
あたしは苦笑した…
あたしは医療モニターの収入の話を、することにした。
「実はねぇ…短期のバイトが見つかったの」
「そう…それは良かったわね」
「当分の間は、そこで働こうと思ってるの」
「まぁ、バイトから正社員の道もあるから、しっかり頑張るのね」
「うん」
あたしはママに嘘をついた。そうでも言わないと旭川の実家に戻されそうだからだ。ああ…医療モニター当たるといいな…
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