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俺は本当の本当の最後の手段として、実家に電話を掛けた。
ついていない時というものは、ついていないものである…
「あっ!もしもし。母さんか?」
「喬なのかい?」
「そうだよ。母ちゃん元気か?」
「元気だが…あんた何しに電話してきた?」
(たまに電話したらこれかよ…)
「実はなぁ…母ちゃん、金貸してくれないかな?」
「金?いくら貸して欲しいんだい?」
(おっ…これは見込みありか…)
「三十万でいいんだ。ちゃんと返すから」
「どうしたらいいんだい?」
「俺の銀行口座に振り込んでくれよ」
「…あんたの銀行口座にねぇ…」
「頼むよ、母ちゃん。交通事故起こしちゃって…」
「……」
「もう当てがないんだよ」
「……」
「母ちゃん、金貸してくれよ!」
「……」
「母ちゃん?聞いてるのかっ?」
「……」
「母ちゃん?」
(おい、何で母ちゃん黙ってるんだよ…)
「ああ、警察の言う通りだね。あんた、オレオレ詐欺だね?わたしは騙されないわ」
(おい、おい。息子の声を忘れたのかよ…)
「わたしは騙されないわよ!」
ガチャン…
プーーー…
「おい、母ちゃん。ちょっと待ってくれよ。母ちゃん!」
何と母ちゃんは、俺をオレオレ詐欺と勘違いしゃがった…
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