第二章

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         /2  駅の中央入口から半周ほどした所に小さなカフェがある。  小夜子とはそこで待ち合わせをした。  約束通り中井は連れて行かずに幸一は駅のロータリー側からカフェのある路地に回り込む。  時計も携帯電話もないから時間はわからないが、さほど歩いてもいないので小夜子を待たせるということはないだろう。  しかし、心の中の何かに背中を押されるように、幸一は足早にカフェに向かった。  白い息を吐きながら、看板を見上げる。  よもや、勘違いということもないだろうが、待ち合わせ場所が間違っていたとしても確かめる術はなかった。  ドアを開けると、入店を知らせるベルが鳴る。  店内のBGMは、クリスマスイブの雰囲気を壊さない程度のしっとりとしたクラシックで、どこか大人のムードが漂っていた。  幸一も多少は急いだつもりだったが、小夜子の方が早く到着していたようで、店の奥に一人で座っていた。  小夜子は幸一に気づくと、小さく手を振る。 「悪い、待たせた」 「私も今来たとこだから」  幸一は小夜子の向かい側に座る。 「まずは何か頼もうか」  小夜子はメニューを手にとり、一通り眺めてから幸一に差し出した。  メニューを受けとり、幸一はドリンクメニューだけに視線を落とす。 「決まった?」 「ああ」 「すみませーん」  小夜子が店員を呼び、それぞれ注文を頼む。  品物が来るまでは、沈黙が続いた。  重苦しい沈黙ではなかったが、話の途中で品物によって遮られたくはなかったので、どちらともなく沈黙を守っていた。  程なくして、ココアとコーヒーが運ばれてきた。 「ココア……か」 「ん、まあ好きだから」  中井の話ではコーヒーは飲めないのだとか。  ここまでくると、印象が合致した方がしっくりくる。彼女は間違いなくサンタクロースなのだから。  そして、それについて話しにきたのだ。  それともう一つ――幸一の答えについて。 「何から聞きたい?」 「って言われてもな。ストレートに聞かせてもらうけど、何でサンタクロースを止めたんだ?」 「シフォンからは何を聞いてる?」 「あのトナカイからは何も。つーか、あいつが知りたがってたことだよ」  小夜子はカップを慎重に口へと近づけ、一口だけココアを啜った。  
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