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だが、現実は上手くいかないもので、意気込んだ日に限ってシンディが来ない。
まぁ、今日は金曜日だし、仕事が立て込んでいるのかもしれない...
今日を逃せばまた仕事に追われてしまうだろうが仕方ない。
カラン...
「こ...んばんは...」
彼だ...それも、息を切らしてこちらに向かってきている。
走ってきたのだろうか?そんなに慌てて...?
思わず口元が緩む。
「こんばんは、今日は遅かったね。仕事?」
「えぇ、残業が入ってしまいまして...」
やはり仕事が延びてしまったようだ。
走ってきたせいか少し髪が乱れていて、新鮮な感じがする。
...と、そんなことよりも、何かキッカケを作らなければ。
彼の注文したドリンクが届いて乾杯する。
「こ、今夜は月が綺麗ですね」
えっ...?
シンディから発せられた言葉に耳を疑う。
これは、もしや、I love youと伝えているのかな?
いや、シンディに限ってそんな回りくどい告白はしなそうだ。
だが...乗っかるのもいいかもしれない。
「...死んでもいいな」
シンディを横目で見ながら、気持ちを乗せて伝える。
あぁ、本当に...そう思う。
まだ、始まってもいないのに、もし、この恋が叶うなら、君と幸せなれるなら...。
まぁ、伝わらないだろうけど。
シンディはといえば、何やら神妙な面持ちで考え込んでしまった。
きっと、君の事だから、俺が仕事で病んでいるというようにしか思ってないんだろうな...そう考えるとちょっと笑える。
お?なんか、赤くなってきた。
もしかして、気づいたかな?
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