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「...モヒートをお願いします」
「畏まりました」
モヒートと言うことは、やはり甘めのものは苦手なのかもしれないな。
シェーカーを振り、グラスに注ぎ、彼の前に出す。
「お待たせいたしました」
「...頂きます」
...ん?
グラスを傾けて飲む彼は心なしか、いつもと雰囲気が違うような気がする。
度数はそれ程高くないが…酔ったのだろうか?
...ゴトッ
カラになったグラスが置かれ、彼を見れば、妖しげな笑みを浮かべていた。
「美味しい...俺、今夜は帰りたくないなぁ...」
…!?
トロンとした瞳がいつにも増して色気を醸し出していて、頭を抱えたくなる。
「お兄さん大丈夫?」
一つ席を開けて座っていた菖蒲さんが、顔を覗かせる。
「...大丈夫、ありがとう。今日はマスターと帰るから」
...はい?何と?
「あぁ、そういう関係なんだー」
菖蒲さんの勘違いを否定することすら、出来ないほどに、頭が追いつかない。
キミは何を言っているんだ?
「ね!マスター」
いや、そんな約束していない以前に、そんな関係ですらないのだが。
それにしても性格が変わるものだ。
もしかして、本当は面倒なタイプの男だったのだろうか?
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