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「僕は、その...男が好きなのかもしれないんです」
「そうですか、でも珍しい事ではないでしょう?」
私自身、好きになる対象は様々だし、ここの客にも多いため、特に不自然ではないが…彼の性格上悩んでしまうのだろう。
「えぇ、ただ、そのせいで妻とも出来なくなってしまって...」
なるほど、それで離婚したとなると深刻だな。
「出張が入っていた日、急遽、連絡しないで家に帰ったことがあったんですが...妻が、男と家で...その...行為をしていまして...あろう事か、僕は男の方に欲を感じてしまった...」
何とも運が悪い...とは言え、その状況はショックで血迷っていたのかとも取れる。
「そうでしたか、大変でしたね…」
「えぇ、最悪でした…色々と」
「それで、どうされたいのですか?」
「え?」
俯く彼が、ようやく視線をあげる。
「ですから、女性を愛せるようになりたいのか男性ともしてみたいのか…どちらですか?」
「正直、迷っていますが、男性とのことは全く知識もなくて...」
ちょうど、私にもパートナーは居ないし、荒療治も必要かもしれないな。
「では、試してみます…?」
にこやかに微笑む私に、彼が少し引いているのが分かる。
だが、このくらい言わないと彼には伝わらない気がして強引に伝えた。
「街で男性を誘うというのでしたら止めませんが、貴方には危険すぎるでしょう…さぁ、どうします?」
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