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「...朝か」
目を覚ますと、案の定彼の姿は無く、もう会うことは無いのだろうと何となく納得する。
...何だ?
ふと、ベッドサイドのテーブルに目を移すと、几帳面な文字でメモが残してあった。
『おはようございます。
昨日は優しくしてくださって本当にありがとうございました。
お陰で体も痛みがなく、体調も良好です。
仕事の関係でお先に出ることをお許しください。
奥寺翔馬』
メモの下には2万挟んである。
律儀な男だ。
と、それよりも、この文章からして、勘違いされているんじゃないだろうか?
してないんだが…何にも。
頭が痛い。
真面目な男ではあるようだが、思い込みが激しい節があり、この男は止めておけと脳内でもう1人の自分に警告されている。
まぁ、もともと興味があっただけなのかもしれないし、こちらからは、これ以上進まないのが身のためだ。
何となくメモを財布に入れて、ホテルを後にする。
10時半を過ぎたあたりだから、まだ少し早いが店で準備をすることにした。
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