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それから、数週間、縁に会っていない。
珍しい事ではあるけれど、とうとう、今回は意中の彼と上手くいってしまったのかもしれない…。
♪~♪♪
不意に縁からの着信を告げる音が鳴る。
「どした?」
『テツ...これから逢えるかな?』
縁の声には覇気がなく、なんだか様子がおかしい。
「うん、いいよ。どこに行けばいい?」
『テツの家...行って...いいかな?』
「いいよ。待ってる」
まさか振られたのか?
パスタを食べた時の縁の嬉しそうな顔が浮かんで、胸が痛んだ。
あんなに振られて欲しかったのに、縁が悲しむ姿は見たくないなんて矛盾してて笑える。
ピンポーン...ピンポーン...
うわぁ、誰だよ…これから縁が来るのに。
ドアスコープから除くと、縁がいた。
...ガチャ
「早かった…っ!」
トサッ...
言い終わる前に倒れ込んできた縁を反射的に抱きとめる。
「え、えと...縁?」
心臓がうるさいくらいに鳴って、頭がぼーっとしそうだ。
これは夢?
「テツ...いきなり、ごめんね。テツの顔みたら安心しちゃって...」
「いや、ビックリしたけど、俺はいいよ。それより、あがりなよ?」
ようやく顔を上げた縁を部屋に促す。
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