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…可愛いから。
そう言って、染井が付き合いだしたのは、2年くらい前だったか。
俺には可愛いと思えない男も染井にとっては可愛いらしい。
人の嗜好を否定する気は無いが、俺には理解できないと思った。
たぶん、俺には男を可愛いと思う素質はないんじゃないか─と同期の冴島を前にしても思っている。
「あの、お茶でもどうですか?」
「は?」
退社する俺を呼び止めた冴島を遠慮なく見上げる。
「お茶、嫌いでした?」
真意を測っていれば、そんな的はずれなことを言われ、ますます困惑する。
①何故、お前とお茶を飲まにゃならんのだ?
②普通予定があるか聞くのが先だろう?
③お前と俺、仲良くないよな?
「いいけど、どうせなら酒が飲みたい」
考えた挙句の俺の答えに冴島は、分かりました、と笑顔で答えた。
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