秘密の冴島くん

2/14

141人が本棚に入れています
本棚に追加
/143ページ
…可愛いから。 そう言って、染井が付き合いだしたのは、2年くらい前だったか。 俺には可愛いと思えない男も染井にとっては可愛いらしい。 人の嗜好を否定する気は無いが、俺には理解できないと思った。 たぶん、俺には男を可愛いと思う素質はないんじゃないか─と同期の冴島を前にしても思っている。 「あの、お茶でもどうですか?」 「は?」 退社する俺を呼び止めた冴島を遠慮なく見上げる。 「お茶、嫌いでした?」 真意を測っていれば、そんな的はずれなことを言われ、ますます困惑する。 ①何故、お前とお茶を飲まにゃならんのだ? ②普通予定があるか聞くのが先だろう? ③お前と俺、仲良くないよな? 「いいけど、どうせなら酒が飲みたい」 考えた挙句の俺の答えに冴島は、分かりました、と笑顔で答えた。
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

141人が本棚に入れています
本棚に追加