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「…続きを期待していたのか?」
上から覗き込まれて、釈然としないが…敢えて応えてやろう。
「…あぁ、続きはしないのかと思ってた」
「…っ」
へぇ、驚いた顔…まぁ、これが見られたから良しとするか。
「今夜なら付き合ってもいいと思った」
身体を起こして冴島を見やる。
同じ男を組み敷いたんだ。
今夜なら流されても良かったが、次はない。
そう告げる。
「そうか…残念なことをした」
含みのある笑みを浮かべながら、呟く声が耳を掠めた。
耳元で囁かれている訳でもないのに甘い声に、妙に揺さぶられる色香に戸惑う。
これが艶というものだろうか。
「俺は安くないからな」
これは自身にも言い聞かせているセリフ。
ただの同僚に抱かれてもいいと思ってしまった俺への戒め。
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