秘密の冴島くん

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男に対して、可愛いだなんて、俺はきっとこれからも思わないだろう。 それに対する偏見はないけど。 でも、可愛いと言われて、嫌じゃなかった自分を知ってしまった。 男とするキスが悪くないものだと知ってしまった…。 この先、俺は、どうなってしまうのだろうか…。 ピリリリ…ピリリ 「…はい」 ディスプレイに表示される相手の名前なんて確認しなかった。 ただ、 冴島だったらいいなと思ってしまった… 『…その、すまない』 また、謝ってる。 「…何かあったか?」 『その、ふざけた訳では無いんだが…俺にはなかなか勇気がなくて遅くなった。今日誘ったのは、お前と一緒にいたかったからだ。俺が…お前に惹かれているからだ』 …っ、なんだよ、その急に男らしい告白は。 「…そう」 ヤバい、全然嫌じゃない。 でも、どうしよう、こんな…一日で絆される俺は単純すぎなんじゃないか? 『…名瀬、嫌か?』 …嫌じゃないから、正直、困っている。 「…名前、呼ばないのな。俺には呼ばせたくせに」 何だか検討ハズレの言葉が口をついた。 これ、なんだろう。 なんか、拗ねてるみたいじゃないか… 「や、やっぱいい…」 『恭輔…好きだ』 否定の言葉に被さるように名前を呼ばれる。 ヤバい、これは、本当にヤバい。
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