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部屋の両端にあるベッドに寝そべりながら、他愛の無い話をする寝る前の数時間。
彼と学科の違う俺にとって、この時が何よりも幸せだった…
なのに…
今夜は、こんなにも辛い。
「…さっきから黙ってるけど、眠いのか?」
…っ
不意に詠二に声を掛けられて、ハッとする。
「…あぁ、ちょっと疲れてるみたい」
「じゃあ、寝るか…お休み」
電気を消す彼の弾んだ声が、妙に耳に残った。
さよなら、と別れを告げられているようで、泣きそうになる。
「あぁ…お休み」
隣で眠るアイツは、俺の涙なんか知らない。
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