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親父とは、ホテルのレストランで逢う約束らしい。
俺は、慣れないスーツに身を包み、予約してある名を告げて席についた。
…高そうな場所だな。
周りには、身なりのいい老夫婦やカップルばかりがいる。
ちなみに、俺は一人だ。
お袋は、寄る場所があるらしく「先に行っててくれる?」と言って別れたから。
親父…どんな人だろ?
そんなことを考えながら、レストランに入ってくる人を見る。
………
……
…遅くないか?
時計は、約束の時間を30分過ぎている。
親父、何やってんだよ?
いや、そもそもお袋が来ないのが変だ…
「…あの、…昂弥…くん?」
突然、息を切らせた若い男に声を掛けられる。
「は…い…」
…っ!?
意味が分からない。
この男、泣きそうな顔だ。
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