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何を考えて押し倒されたのかは知らないが、この先、無事では済まないことぐらいは察しがつく。
「…そんなに恐い顔をしないで下さい」
キッと睨んだ谷原に対し、雨宮は穏やかな口調で話す。
「それに…」
…何だ?いきなり黙って…
あれ…顔近くな…っ!?
「…っ、んっ…」
視界がボヤける中、唇が塞がれる。
「…んっ…っ」
次第に深くなる口付けに現実逃避したくなる。
願わくば、夢であって欲しい…
チュッ…
わざとらしく音を鳴らせた後、ようやく唇が離された。
荒い息を整えながら、谷原は雨宮を見つめる。
「……」
言いたいことはあるのに、怒りよりも疑問ばかりが先行して、声にならない。
女性との噂が絶えない雨宮が、私に…キス?
全く訳が分からない。
「また、そんな顔をして…」
「…そんな?」
苦笑する雨宮は、どこか楽しそうだ。
…?
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