氷の瞳

18/22

141人が本棚に入れています
本棚に追加
/143ページ
...っ 目を開けると、オフィスのよく見慣れた天井が見える。ここは、ソファーの上か? 私は...何を? 考えながら、起き上がるとスーツの上着がYシャツ越しに滑り落ちた。 このスーツは、雨宮の... ダークグレーのスーツからは、雨宮の付けているコロンの香りが微かにする。 ...あいつ!雨宮は...? 「...何で」 ふと目線を上げた先には、デスクの椅子を壁際に寄せ、ソファーの横に寄り添うようにして座りながら寝ている雨宮の姿があった。 立ち上がりながら、念のために、着衣を触ってみるが、乱れてもいなければ体が痛むこともない。 という事は、キス以外は何もされていないのだろうか? 「全く...選り取りみどりだろうに、何故、私なんかを...」 「…スー...スー...」 雨宮に近づいてみるが、規則正しい寝息が聞こえるだけだ。 「…起きるなよ?...よっと」 谷原は、雨宮を自分によりかかるようにさせて抱き上げ、ソファーに下ろす。 ギシッ... 仕方が無いこととはいえ、少し気恥しいのは、意識しているからなのか、何なのか...あまり考えないことにしよう。 あどけない寝顔を見せる部下をソファーに寝かせると、寝息だけが返ってきた。
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

141人が本棚に入れています
本棚に追加