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...っ
目を開けると、オフィスのよく見慣れた天井が見える。ここは、ソファーの上か?
私は...何を?
考えながら、起き上がるとスーツの上着がYシャツ越しに滑り落ちた。
このスーツは、雨宮の...
ダークグレーのスーツからは、雨宮の付けているコロンの香りが微かにする。
...あいつ!雨宮は...?
「...何で」
ふと目線を上げた先には、デスクの椅子を壁際に寄せ、ソファーの横に寄り添うようにして座りながら寝ている雨宮の姿があった。
立ち上がりながら、念のために、着衣を触ってみるが、乱れてもいなければ体が痛むこともない。
という事は、キス以外は何もされていないのだろうか?
「全く...選り取りみどりだろうに、何故、私なんかを...」
「…スー...スー...」
雨宮に近づいてみるが、規則正しい寝息が聞こえるだけだ。
「…起きるなよ?...よっと」
谷原は、雨宮を自分によりかかるようにさせて抱き上げ、ソファーに下ろす。
ギシッ...
仕方が無いこととはいえ、少し気恥しいのは、意識しているからなのか、何なのか...あまり考えないことにしよう。
あどけない寝顔を見せる部下をソファーに寝かせると、寝息だけが返ってきた。
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