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「阪嶺さん、これ出来ました!!」
元気良く走ってきた彼が、俺に資料を渡す。
「はい…」
受け取った資料をパラパラと捲る。
粗削りな部分もあるが、指摘した部分は丁寧に直されていた。
「いいですね。お疲れ様でした」
彼に視線を向ける事なく、サラッと言い、再び業務に戻る。
会社での俺が彼に対してとる態度は、こんな感じだ。
パソコンを通してなら、親しげに彼の言葉に耳を傾けることが出来るのに…
面と向かえば、こんなにも素っ気ない嫌な上司になってしまう。
「…」
「…何か?」
視線を感じ、何故か留まっている彼を見る。
何か言いたいくせに言い出せない、そんな感じだ。
言いたいことがあるなら、言ってくれればいいのに…
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