催促

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多分、顔がひきつってたんだと思う。そんなあたしを見た彼は、笑ってそう言ってくれた。 悠ちゃんに連れられ、中へ入る。5階建ての、あまり新しくないマンション【みどり】。エレベーターに乗って、後輩の部屋を目指す。狭い空間に広がる彼の微かなアルコールの臭いとGUCCIの香水の香りが、あたしを少しドキドキさせた。 後輩の部屋は、4階にあった。奥の方まで歩いて、悠ちゃんは何の躊躇いもなくドアノブに手をかけた。 「おいこらっ! はよ開けろやー!」 「ちょっと悠ちゃん…どもないん?」 あたしが心配して聞いてみると、部屋の奥からバタバタと足音が聞こえた。
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