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その頃店員と律子は店の裏に場所を移動していた。
そこはまるで倉庫の様な所で、辺りには埃を被った段ボールが乱雑に積み上げられている。
「あちらで御座います」
店員が示す方を見ると、そこだけがきちんと整理されていて空間が広くなっていた。
その場所の中央には不自然に綺麗なガラスケースが置かれていた。
ガラスケースの中にはシルバーのケータイがあった。
「あら、こんな所にもケータイが置いてあるのねぇ」
律子は能天気に言葉をもらした。
「はい、こちらは特別な携帯ですので普通の売場と隔離しているのです」
店員さんはすらすらと話す。
「特別なのに0円なの?」
律子の頭には特別=高級というイメージがあった為、店員の話が信じられなかった。
「はい。実はコチラの携帯は最新機能が付いていまして、実験的な意味合いも含まれての0円となっております」
「最新型で0円なんてお買い得ねぇ。でも実験用なんて普通に使えるのかしら?」
「ご安心下さい。実験と言いましても完成品と何ら変わりはありません。……ですが」
「はい?」
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