念願のケータイ

4/7
前へ
/95ページ
次へ
その頃店員と律子は店の裏に場所を移動していた。 そこはまるで倉庫の様な所で、辺りには埃を被った段ボールが乱雑に積み上げられている。 「あちらで御座います」 店員が示す方を見ると、そこだけがきちんと整理されていて空間が広くなっていた。 その場所の中央には不自然に綺麗なガラスケースが置かれていた。 ガラスケースの中にはシルバーのケータイがあった。 「あら、こんな所にもケータイが置いてあるのねぇ」 律子は能天気に言葉をもらした。 「はい、こちらは特別な携帯ですので普通の売場と隔離しているのです」 店員さんはすらすらと話す。 「特別なのに0円なの?」 律子の頭には特別=高級というイメージがあった為、店員の話が信じられなかった。 「はい。実はコチラの携帯は最新機能が付いていまして、実験的な意味合いも含まれての0円となっております」 「最新型で0円なんてお買い得ねぇ。でも実験用なんて普通に使えるのかしら?」 「ご安心下さい。実験と言いましても完成品と何ら変わりはありません。……ですが」 「はい?」
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加