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その日は何事も無く学校が終わった。
ケータイが近付くにつれて高志も元のテンションも徐々に戻っていった。
高志は一弥と一緒に家に帰っていた。
親友だからというのもあるが、二人は近所に住んでいるのだ。
「いよいよ念願のケータイだな」
にやけ顔の一弥がそう言った。
「うん、テンション上がるぅぅ!」
流石高志、既にいつもの高志に戻っていた。
「そうだ、俺のアドレス教えっからケータイ買ったらメールしてな」
そう言うと鞄からアドレスの書かれた小さな紙切れを取り出した。
一弥は頻繁にアドレスを聞かれる為、常にその紙切れを数枚持っているのだ。
「おう、サンキュー!!必ずメールするよ」
高志は記念すべき一人目のアドレスを手に入れた。
「そういやさ、一弥は何で俺と一緒に帰ってるの?部活は良いの?」
野球部と言えば練習量の多いイメージがあるが、一弥の部も例に漏れず活動的な部活だ。
今は部活をしていない高志と一緒に帰宅出来るのは確かに不自然だった。
しかし今更気づく高志もどうなのだろうか。
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