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「ところでさぁ、紗良…」
「……」
トランクス一丁で、コーヒーを入れてくれている勇気の後ろ姿を、
愛の余韻にひたりながら、うっとりと眺めていた私は、
勇気に話しかけられても気付かないでいた。
「ちょっと、紗良!聞いてる?」
クスクス笑いながら、コーヒーを持ってきてくれた勇気が、優しく私の頭を撫でる。
その心地よさにとろけていたくなる。
「ごめん!ボーッとしてたみたい」
「俺に見惚れてたな…あのさ~、来月からバイトするって言ってたけど、紗良やめとかない?」
「えっ!!何で??」
「いやぁ、別にバイトしなくたって、こうやって会えるわけだし。何より、今のバイト女の子じゃきついと思うんだよね」
「だって、女の子も働いてるんでしょ?」
「そうなんだけど…その子達きつそうなんだよ…」
勇気は、私を納得させようと、色々な理由を、あぁでもない、こうでもないと、繰り返す。
私は、何で?だって!を繰り返す。
話し合いは、平行線をたどり、我慢出来なくなった私は、
「もういいっ!」
怒りにまかせた言葉を吐き出し、勇気の家を飛び出した。
🍀
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