17人が本棚に入れています
本棚に追加
いつの間にか、
私は、泣きつかれて眠ってしまっていたらしい。
少し寝たら、気分が落ち着いて、冷静に考えられるようになった。
『やっぱり、ちゃんと話さないと…』
私は、今の状態が嫌で、鬱陶しがられると分かっていながら、携帯電話を開いていた。
―――
「―はい…」
何度目かの呼出音の後、電話の向こうから、呼び出し音の代わりに愛しい人の声がする。
「あっ…勇気。…さっきは、本当にごめんなさい…」
「…うん。もうわかったから。用はそれだけ?」
――さっきと同様、とても冷たい声の勇気。
何だろう…?いつものケンカの時とは明らかに違う。
私も勇気も頑固だから、ケンカをしても、なかなか謝らない。だけど、結局寂しさに負けて私が謝ることが多い。
でも、勇気は謝る私を見て、あの優しい笑顔を私に向けて許してくれる。
―だけど、今回は何か違う。
🍀
最初のコメントを投稿しよう!