23人が本棚に入れています
本棚に追加
その美しさにセイレーンは思わず見惚れてしまいました。
そして、悲しくなりました。
自分とは全く違うのだと。
「私は吟遊詩人です。貴方の歌声はとても綺麗で…よろしかったら聞かせてくれませんか?」
セイレーンは驚きました。
そんな言葉を掛けたのは青年だけだったからです。
青年は杖を使い、セイレーンの側に近寄ろうとします。
しかし、不安な足取りでした。
セイレーンがその姿を凝視していると青年はふと顔を上げてセイレーンの方を見ました。
薄ら目を開けた瞳は何も捉えず、ただ虚空を見つめていた。
最初のコメントを投稿しよう!