優しい吟遊詩人

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目の見えない青年は器用に包帯を巻いていきました。 見えているのではと思う程にそれは綺麗でした。 「これでよし」 結び終えると青年はふわりとセイレーンに微笑みかけました。 それがあまりに綺麗だったので思わず頬を赤らめました。 「嗚呼…もうそろそろ帰らないと」 青年は残念そうな声で呟くと近く置いていた杖をとり立ち上がりました。 それをセイレーンは見つめます。 「私、この先の村にしばらく滞在するのですが…また来てもよろしいですか?」 青年のその言葉にセイレーンは嬉しそうに歌いました。
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