語り手 歌い手

2/6
前へ
/34ページ
次へ
それから青年は毎晩セイレーンの下に通うようになりました。 時に、セイレーンが歌い。 時に、青年が語りました。 二人にとってそれは楽しい一時でした。 セイレーンは青年にたくさんの質問をしました。 『何故、私の匂いが大丈夫なの?』 「私は旅人。時には戦場の近くを通ったり、死人を前に弔いの詩を歌いますから少し慣れているのですよ」 『あのシルフィードは?』 「私の詩が好きになって最近付いてきたのです」 『貴方の名前は?』 「内緒です。でも…昔、誰かがこう呼んでくれました。“オルフェウス”と」
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加