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セイレーンはそれを嬉しく思いましたが、力なく首を横に振りました。
『私は醜い魔物です』
「魔物だからなんですか?愚かな戦いを繰り返す人の方が余程、魔物と呼ぶべきです。それに…」
手からそっと、セイレーンの頬にしなやかな指を伸ばし、慈しむように撫でます。
「貴方のその心の何処が醜いと言うのです?私が出会った方で貴方程に優しく美しい心の方はいませんでした」
セイレーンは顔を赤らめ水面に顔を背けてはっとしました。
水面に映るのは若い女でした。
崩れていない懐かしい顔。
セイレーンの姿。
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