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「……ここ、は……」
覚めるはずも無かったのに俺の目は再び開き、質素な天井を映し出す。首を動かして周りを見るが、全く見たことの無い部屋だった。どうやら俺はベッドに寝かされているようだ。俺は起き上がろうとするが、その途端体中に激痛が走る。
「……っ! 起き上がるのはきついな……」
すると扉が開いて子供の犬獣人が入ってくる。
「あっ!! 目、覚めたんだね! よかったぁ、一時はどうなるかと……」
その犬獣人は心配したような顔でこちらに向かってくる。……いや、ようなではなく本当に心配したのだろう。
「大丈夫? まだ体痛まない? ご飯食べれる?」
「…………」
犬獣人はまくし立てるように俺に聞いてくる。が、面倒だったので返事はしなかった。ついでに、今聞いてきた質問の答えは全てNOだ。
「……もしもし?」
「………なぜ助けた」
俺がそう言うと、犬獣人は心底驚いた顔をした。そんなに驚くことだろうか。瀕死の俺を助けた理由など、見当がつかない。
「な、なぜって……。そんなの当たり前じゃないですか!! あんなに傷ついた人見て助けない程、僕らは神経腐ってませんよ!」
「………そうか」
……それもそうなのかもしれない。俺が長い間あそこに居たから分からなかっただけで、普通は助けるものだったのかもしれない。……確かに俺達の神経は腐ってた。
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