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『…………』
周りは血の海。俺の周りには沢山の人の死体。
『クックッ……。いいぞ、その調子だ。あと30人殺せば“お仕置き”は無しだ』
後ろからそんな事を言われる。俺は微かに体が恐怖で震えるのを感じながら、再び血識を発動させる。血識を発動させた途端、俺の体は自由がきかない。勝手に人を探しだし、自分の腕で命を奪う。一人、また一人と命を奪う。これでこの村の住人は全て死んだ。
『……おい、てめぇ30人も殺してないな? 残念だが帰ったら“お仕置き”だ』
『………』
全ての村人を殺した。それでも30人いかなかった。これ以上は殺そうにも殺せない。この人も既に30人なんていない事ぐらい分かっていたはず。……それでも俺は驚かない。いつもの事だから。それでも俺は文句を言わない。言えばもっと酷いものが待ってるから……。
『――うっ! 痛っ! ぐぁっ!!』
帰ったらいつもの牢屋に入れられて、鎖で繋がれる。男達は、まだ子供の俺を鞭やナイフで痛め付ける。
『てめぇは良い仕事するんだがなぁ。いっつもお前のノルマの人数は達成出来ないんだよなぁ! あぁ!?』『ぐっ! あぅ! ぐぁっ!!』
……いつもお前達が人数以上のノルマを与えるんだろうが!! そんな事を頭の中で考えながらも、男達の“お仕置き”に堪える。……他の部屋からも微かに聞こえる悲痛な叫び。
『……ぅ、ぁ……』
数時間のお仕置きにより、俺の意識は薄れていき、痛みも感じなくなる。そのうち男達も痛め付けるのを止める。
『……ちっ、まだガキだな。このくらいでへばるなよ』
『クックッ…。いいじゃねえか。こいつが一番仕事の出来が良いんだからよ』
『クックッ……。それもそうだな。こいつの血識は最高に使える』
男達の笑い声を聞きながら、俺の意識は消えていった。
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