第一話

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「―――!! ……夢…」 夢の俺の意識が途絶えるのと同時に、現実の俺の意識は目覚める。昨日よりかは動くのは楽になったが、まだやはり痛みはある。気がつけば俺は大量の汗をかいていた。 「……大丈夫? すごくうなされてたけど…」 横を見ると、昨日の犬獣人がそこにいた。 「……心配するな」 俺はそれだけ言って視線を天井に向ける。窓から差し込む光によって照らされて、無地の白い天井がよく見える。 「あっ、待ってて! ご飯取ってくるから!」 そう言って犬獣人は扉の方へ向かう。……動けるようになったら何か礼をしなければ。 「―――うわっ! ご、ごめんミックさん!」 扉に向かった犬獣人の慌てた声が聞こえて、そちらの方に視線を向ける。そこにはスープを持っている猫獣人が立っていた。 「ラルド危ないだろ? 零したらどうすんのさ。せっかく作ったのに」 「……ご、ごめん」 そんな会話をしながら二人は俺にスープを持ってくる。遠くからでもした良い匂いが、近くで嗅ぐと更に食欲を増させる。 「はい、怪我人さん。俺の特製スープだよ」 俺は上半身を起き上がらせスープを受け取る。手渡されたスプーンでスープを一掬いして、俺の口に運ぶ。 「……ん、美味い」 正直な感想だ。こんなスープは一度も食べたことが無い。……勿論食べれるような環境にいなかったというのもあるが。 「ミックさんの料理の腕は超一流だよ!」 「へっ、そんな事言うなよ。期待されるだろ?」 「大丈夫だって! ミックさんの料理は誰が食べても美味しいって言うよ!」 二人がそんな会話を楽しそうに進めている間に、俺はスープを平らげた。 「……ありがとう、美味しかった」 「どういたしまして! 俺も美味しく食べてもらえて嬉しいよ!」 俺はスープの器をミックと呼ばれた猫獣人に返す。 「……それよりもあんた、ホントに大丈夫か? そんなに包帯ぐるぐる巻くほど大怪我してたんだろ?」 そう言いながら俺の体を指差す。上着は脱がされていたので、上半身に巻かれた包帯はあらわになっていた。肩や腹などに巻かれた包帯は血が滲んでいるのがわかる。 「……痛みはするが幾分マシにはなった。……助けてもらって何もしないわけにはいかない。何か手伝える事は無いか?」 俺が頼んだわけではないが、迷惑をかけたのには変わりない。俺は二人に問うた。
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