第一話

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グルルルルルル………!! 「―――!! ラルド!!」 いつの間にか寝てしまっていた俺は、魔物の気配と威嚇するような声で目が覚めた。 「ん~……!! なんでこんな所に魔物が!?」 起きたラルドは、すぐに身構える。……敵は6匹。どうする。血識を使うか………。 「オズワルド、僕に任せて!」 ラルドはそう言うと、ポケットから緑の珠を取り出した。 「…どうするつもりだ?」 「まぁ見ててよ! おいで! エア!!」 手に持っていた緑の珠が光るのと同時に、珠を上に投げた。更に光が増していく。 『お呼びですか~?』 「……! 精霊か!」 出てきたのは小さな生き物。薄い緑色をした小鳥が珠の代わりに現れた。 「そういうこと! オズワルド、僕から離れないでね!!」 そう言うと、一気にラルドの体から魔力が溢れ出す。それと同時に魔物達が一斉に襲い掛かってくる。……まずい! まだ詠唱も始めていない状態から一斉に来られたら、ただでは済まない。……やはり俺が。 「サイクロン!!」 「……なっ!?」 俺が血識を使う寸前に、ラルドは魔法を唱えた。……まだ詠唱は始めていなかったはず。……詠唱破棄!? ラルドの立ち位置を中心に強い竜巻が起こる。近くまで来ていた魔物達は勢いよく吹き飛んだ。そのまま魔物達は逃げていく。 「……その歳で詠唱破棄。……凄いな」 「そ、そんなこと無いよ! ……自分でもよくわからないけど、一度見た魔法は詠唱破棄出来るんだ」 ……そんなこと、最高クラスの魔導師ですら出来るかどうか怪しいところだ。 「……それよりもおかしいよ。いつもここには魔物なんて来なかったのに…」 「……そうなのか?」 「…うん。それにここの近くは魔物は少ないはずなんだ」 よくここに来ているラルドが言うのだから間違いないのだろう。……だとすると何故……。 「……考えても仕方ない。とりあえず帰ろう」 「……それもそうだね」 このままここにいて、また魔物が襲い掛かってこないという保障はない。俺達は丘を後にした。
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