女子

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女子

ラッキーが外を見て切なげな声を出した。 「しょーがないでしょー?雨降ってんだから」 窓際に座るラッキーの隣に私も腰を下ろす。 ただでさえ寒いのに、窓際…しかも今日のように雨降りの日の窓際はかなり冷える。 「さっむー。あんた、よく平気だよね?その毛皮のせいなの?」 キュウン?ラッキーがつぶらな瞳でキョトンと私を見上げた。 くっそー。どうしてこいつ、こんなに上手に首を傾げることができるんだ! 「お前ほんっとかわいいなあ、このこのっ」 両手でラッキーの顔をもみくちゃにする。喜んでいるのか、うっとうしがっているのか。ラッキーはキュウンキュウンと喚いている。 「そんなに散歩したいの?残念だけど、雨降ってるから、きょーはむーりーなーのっ」 「キュウウ、ワウ、キューンキュウ」 ラッキーの背中の辺りからするりとわたぼこりのようなものが舞った。毛玉かな、と思い右手でパシッと掴む。ティッシュにくるんで捨てようと、開いた手の中には何もない。 「あれ?」 掴み損ねたかな、と首を傾げるとラッキーも一緒になってキュウン?と首を傾げる。それからふいと外を見て、かなりうれしそうにしっぽを振ってワンと吠えるラッキー君(しあわせもの)。 日光が窓から差し込んできた。誰も頼んでないのに照明のつまみをくいっと回したときのように、ふわっと部屋が明るくなる。
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